以前私の職場で発達障害と思われる方が居ました。
はじめはちょっと不器用くらいにしか感じていなかったのですが、そのうちどんどん発達障害を疑う様になりました。
同じ現場で働いている人も徐々にその人を避けるようになり、結局その人は会社を辞めてしまいました。
もっとよいフォローの方法がなかったのか、どこに配置すれば適材適所だったのかと今でも考えます。
以下、その人をAさんとして私の体験をお話しします。
本人は理解したつもりでも
現場作業の場合はほんの少しの注意不足がケガ、もしくは命にかかわる問題にまでなってしまいます。
私の職場では重量物とそれに伴う荷役機器を扱いますので、手順を守ったり注意を喚起したりと色々やるべきことがあります。
Aさんは私たちのやっている作業を色々と見て、自分なりにやるべきことを理解したと思っていたのでしょう。
そして、所定の動作が完了していない機械を突然停止させてしまったのです。
動作切り替えのレバーを勝手にいじってしまったのが原因でした。
かなり大声で怒鳴りつけたのを覚えています。
もしも動かす方向への誤操作であれば、死人が出る可能性も有りましたから。
一度に処理できるのは一件だけ
それ以来極力機械には近づけないように配置を組みました。
ある程度上手く行っていると思っていた矢先、現場から「今やっていることが終わったら次の事をやってくれと言いつけたが、今やっていることを放り出して次の仕事に取り掛かってしまう。どうしたら良いか」との相談がありました。
Aさんに何かを頼むと、ちゃんとこなしてくれます。
色々苦手分野も有りますが、それは誰でも同じはず。
ところが、その途中で違う用件を聞くと違う用件の方を始めてしまいます。
いわゆるマルチタスクが全くできないのです。
「Aさんが役に立とうとしてるのは痛いほどわかるんだ」
こういっていた人も居ましたし、それは私も分かっていました。
メモを取ったり質問をしたりと、目に見える努力をしていましたから。
ところが、何をメモしているのかと覗いてみると、正直な話支離滅裂という表現がぴったりでした。
行動の努力はどこかズレていて、Aさんは徐々に職場で孤立していきました。
孤立しているだけならまだしも、Aさんをからかう人が出てきたのもこの頃です。
Aさんが一生懸命になればなるほどその傾向は強くなり、とうとう違う現場に転属になりました。
結局馴染めず退職へ
次の現場でもAさんは一生懸命だったでしょう。
しかし、残念ながらAさんがちょっと「違う」というのを大体の人が知っていたのも事実です。
最初は何とかやっていましたが、結局人間関係も上手く行かなくなって彼は会社を辞めることになりました。
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配置には細心の注意を
「大きい事故で誰かをケガさせる前に辞めてくれて助かった」等という声もありましたし、私も本心では少しそう思っていたことも認めます。
しかし、全く同じことを繰り返すような作業は根気よく務めてくれましたし、時間はかかるにしても一旦手順を覚えてしまえばほとんどミスも有りません。
Aさんをどこに配置すれば適材適所だったのか。対人関係に関して、もっとフォローが出来なかったのか。
専門機関や専門家の力を借りることはできなかったのか。
上司として何か他に出来ることは無かったのかと今でも考える事があるのです。